バケモノスタッフブログ

エリック
2014年10月03日
まじめ カルチャー

外国人からみた日本

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こんにちは。バケモノブログライターのエリックです。
私はアメリカ出身で、現在は日本で英訳やマーケティング、デザインの仕事をしています。
音楽、デザイン、言語、社会学が好きです。

私は日本の近代史(大正時代以降)にとても興味があります。でも大学を卒業して以来、勉強する時間がなかなかとれていませんでした。
この夏はゆっくり勉強できる時間があったので、改めて日本の歴史と現代社会を勉強しようと思い、大学院の友達から勧めてもらった本を読んでみました。
その本が日本の現代社会のいい面、悪い面を的確にあぶりだしていて、結構面白かったので紹介します。

紹介する本はデビッド・ピリング著「Bending Adversity」

本の題名は「Bending Adversity: Japan and the Art of Survival」。「逆境をバネに」という感じの意味です。(ちょっと意訳過ぎるかな?)
著者は、英紙フィナンシャル・タイムズのアジア部編集長デビッド・ピリング氏です。村上春樹や小泉純一郎など日本の著名人を取材した経験をもち、日本に関する著作も多数あります。「Bending Adversity」は今年出版されたばかりの最新作です。

大ざっぱに本の内容を説明すると、日本が長い歴史の中で数多くの逆境に耐えてきたことと、現在抱えている問題を取り上げています。

逆境に耐えてきた日本

例えば、戦後の犠牲から、日本が素早く復活したこと。
バブル崩壊から20年以上不景気が続いたけれど、財政破綻にまでは陥っていないこと。
そして、東日本大震災からの復興。

震災が起こった時、ピリング氏は中国にいましたが、すぐに日本に来て取材しました。福島の放射能問題で、政府や東京電力の対応がよかったとは言えないけれど、エネルギーインフラは崩壊していません。
ピリング氏はこの本の中で、日本の「逆境に耐える力」を高く評価しています。

日本が抱えている問題

一方で、日本にはまだまだ成熟していない部分が残っています。
景気対策として政府は様々な施策を講じていますが、本当に取り組むべき問題は別にあるとピリング氏は主張します。

まず、日本の企業は革新的なアイディアを抑圧する風潮があります。
日本の企業では、上司にアイディアを提案するのはタブーなので、一人一人の能力や情熱がそのまま無駄になります。
その結果、グーグルに代表されるような全く新しい概念の技術を、日本企業はまだ開発できていません。

それから、女性差別。このせいで、日本人の労働力の約50%が無駄になっています。
女性は就職してもOL以外の仕事を担うチャンスが少なく、しかもいい仕事をしても、男性の給料とは確実に差があります。

さらに、就職活動システム、官僚制度などの様々の問題を指して、早く改善しないと日本の経済と国際的地位は下降に向かうだろうと著者は述べています。

今の日本に一番大切なこと

「Bending Adversity」を読むことで、日本が抱えている社会問題に対し理解が深まりました。
私自身の考えですが、日本の未 来に対して、若者たちは責任を担っています。でも、日本の若者が自分たちの力で革新的な社会を創造できるかどうかは疑問です。なぜなら、若者たちは、教育 の影響や古い体制に慣れてしまっているせいで、革新を起こしてリスクを負うことを恐れているからです。

でも、次の時代を迎えるためにはリスクを負わないと進まない。

今の日本にとってそれが、一番大きな問題です。

まとめ

「Bending Adversity」は英語の著書なので、ほとんどの日本人はまだ読んでいないでしょう。
デビッド・ピリング氏の意見がそのまま正しいかどうかは別として、外国人から見た日本像に、興味を持ってもらえたらうれしいです。

David Piling
Bending Adversity: Japan and the Art of Survival

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