バケモノスタッフブログ

ヨシダ
2015年07月16日
カルチャー 知識

意外と知らない 和柄の名称【花の模様編】

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こんにちは。実は華道師範のヨシダです。
好評の「意外と知らない 和柄の名称」シリーズも第6稿目となりました。今回は【花の模様編】です。

花柄は今も昔も人気が高い模様です。
でも、花の名前自体あんまり知らなかったりしますよね。
今回は、身近でよく目にする花の和柄を9つ紹介します。

1.梅(うめ)

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奈良時代には「花」といえば梅を指したくらい、梅は古代より人々に親しまれてきました。
梅文様は、梅の花を写実的に図案化したものから、幾何学的に配列したものまで多様なバリエーションがあります。
江戸時代になると、早春にいち早く花をつける梅は、常緑の松、雪に耐える竹とともに、「歳寒三友」と呼ばれ、めでたい花とされるようになりました。

2.桜(さくら)

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奈良時代には「花」といえば梅を指しましたが、平安時代ごろには「花」といえば桜を指すようになり、花見の宴が催されるようになりました。桜の薄いピンク色は現代でも人々を魅了し続けています。
枝に咲く桜や、花びらが川に流れる様子、一瞬で散ってしまう風景など、桜文様は種類も表現も豊富です。

3.牡丹(ぼたん)

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牡丹の花は、庭や寺院によく植えられています。豪華で「花の王様」といった風格が感じられます。
牡丹は中国原産で、中国では富貴の象徴とされていました。平安時代に日本に渡り、平安貴族たちによって美と権力の象徴とされるようになりました。
百獣の王である獅子と組み合わせた「牡丹に獅子」は、武将の甲冑などに好んで用いられました。

4.紫陽花(あじさい)

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梅雨の季節を代表する紫陽花の花。
色とりどりの花の美しさから、平安時代にはすでに観賞用として親しまれていたようです。
紫陽花文様は、焼物や反物など色の表現が多彩なものに多く用いられました。

5.朝顔(あさがお)

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小学生の頃に朝顔を育てた経験がある方も多いのではないでしょうか。
朝顔が観賞用として盛んに栽培されるようになったのは江戸時代のことです。特に文化・文政年間(1804〜30年)と嘉永・安政年間(1848〜60年)に大流行しました。家々の軒先に並ぶ朝顔はどれほど美しかったでしょう。
色鮮やかな夏の花として、浴衣などの文様に用いられています。

6.菊(きく)

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菊は奈良時代初期に薬草として渡来し、平安時代に観賞用として栽培されるようになりました。
9月9日(重陽の節句)は菊の節句とも呼ばれ、長寿を願って菊の花を飾ります。
菊といえば法事を連想する方も多いかもしれませんが、もともと日本では法事に菊を用いる文化はありませんでした。なぜ菊が使われるようになったのか、理由は定かではありません。一説によると、フランスでは祭壇に菊を飾る文化があったため、それが日本でも広まったと言われています。

7.萩(はぎ)

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萩は秋の七草の一つにも数えられ、野山に自生する可愛らしい花です。
萩文様は、女郎花(おみなえし)やススキなどとともに、秋の草花を組み合わせて図案化した秋草文様には欠かせない存在で、蒔絵などによく描かれています。
また、秋らしい小虫や鹿の文様と組み合わせて用いられることもしばしばです。

8.椿(つばき)

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椿は冬になっても葉が青々としているため、特別な力を持つ神聖な木として扱われてきました。仏具や日常品に椿の文様を入れることで、悪霊を祓う意味があったと考えられます。
一方で、花がぽとりと落ちる様子は首が落ちることを連想させるため、武士からは嫌われました。
江戸時代には、花の美しさが好まれ着物の文様などに用いられるようになりました。

9.水仙(すいせん)

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水仙は古代エジプトや古代ギリシャでも栽培されていました。いつ日本に渡来したか定かではありませんが、江戸時代には大変人気が高い花だったようです。
水仙の仙の字が、天仙に通じるため、吉祥な花とされています。
水仙文様には、まっすぐに伸びる水仙の文様や、丸く意匠化されたものなどがあります。

最後に

花柄は、季節感を楽しむこともできますが、あまり季節を気にせず使うこともできます。(バラは春と秋に咲きますが、バラの花柄の服を見て「春らしいな~」と思うことは、あまりないと思います。)
さらに、昔の浮世絵を見ると大ぶりの花柄を着た男性も珍しくないので、性別を問わない柄とも言えます。
普段は花柄を身につけるのに抵抗がある人でも、和柄なら挑戦しやすいかもしれませんね。

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