バケモノスタッフブログ

ヨシダ
2015年07月30日
カルチャー 知識

意外と知らない 和柄の名称【草木の模様編】

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こんにちは。草食系のヨシダです。
夏真っ盛りになってきましたね。

今回は、「意外と知らない 和柄の名称【草木の模様編】」です。
小さい頃、家の近所に生い茂った草木を、大人たちが汗だくだくで刈るのを見ながら「大人は大変だなー」と思った記憶があります。自治会で草刈りの日が決まっていて、サボるわけにはいかなかったんでしょう。でも、草刈りの匂いはなんとなく好きでした。夏の香りです。

現在はオフィスワーカーになってしまったので、すっかり草木には縁遠い生活をしています。でも、オフィスに鉢植えを置いたり、紅葉の季節に京都まで足をのばしたり、多少の親しみは持っておきたいなと思っています。

では、今回は8つの和柄の名称を紹介していきます。

1.桐(きり)

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中国の伝説では、優れた王が現れるとき鳳凰が姿を見せると言われています。桐はその鳳凰が棲む木と信じられているため、高貴な木とされています。
桐文様も高貴な文様として用いられてきました。鎌倉時代には、後鳥羽上皇によって天皇家の紋章とされたと言われています。次第に桐文様は臣下に下賜されるようになりました。今では、最もポピュラーな家紋の一つが桐紋です。有名どころでは豊臣秀吉の「五三の桐」の太閤紋があります。

2.柳(やなぎ)

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柳の木には350種類以上あるそうですが、一般的に柳と言うと「しだれ柳」を指します。
柳は、春になると真っ先に芽吹き、枝をぐんぐん伸ばします。邪気を払うと信じられており、川岸や村堺の目印に植えられました。
流水文様と組み合わせて用いると、水辺の風を感じ、涼しげで夏らしい文様になります。
また、燕と柳の組合せは花札のモチーフとしても有名です。

3.酢漿草(かたばみ)

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酢漿草は、庭や道端に地面を覆うように生える草です。今でこそ雑草というイメージですが、昔は皮膚病などの薬草として用いられていました。
葉の曲線の美しさから、平安時代には意匠化され衣類などの文様にされていました。家紋にも多く用いられ、桐紋に次ぎバリエーションが多い紋と言われています。

4.葵(あおい)

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葵は林や野山など湿気の多い日陰に生える草です。茎からハート形の葉が二枚出るのが特徴で、「二葉葵」と呼ばれます。
葵文様と言えば、「三葉葵」が徳川家の紋章として知られていますが、「三葉葵」は自然には存在せず 、葵の葉を意匠化した紋です。
江戸時代には、葵文様は徳川家の独占紋とされ、徳川一族以外が葵文様を用いることは禁じられていました。

5.楓(かえで)

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春の桜と並んで、秋の楓は古くから愛されてきました。特に桃山時代から江戸時代にかけて、優れた意匠が次々と生みだされました。
動物や自然現象の文様と組み合わせて用いられることも多く、その美しさは言うまでもないでしょう。

6.竹(たけ)

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竹は「松竹梅」や「四君子」(蘭、竹、菊、梅)と言われるように、めでたい文様の一つとされています。まっすぐに伸びる姿、常緑で群生することなどが吉祥とされました。
竹は観賞だけでなく、家具や身近な道具に加工されるなど、日本人にとって身近な植物です。

7.松(まつ)

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松は常緑で、非常に寿命が長く、大木に育つことから「常盤の松」と言われ、吉祥な木とされています。松の幹、枝、葉などが多様に意匠化されました。
特に、若い松の木は「若松」と呼ばれ、お正月の門松などに用いられます。新しくめでたいものを象徴する吉祥な植物とされています。
また、下に掲載した「松葉」は独特の形をしており、デザインのバリエーションも多く、衣類から工芸品まで幅広く用いられています。

松葉(まつば)

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最後に

和柄に出てくる草木は、どちらかと言うと常緑でめでたいとされる木が多いです。
『常緑樹=めでたい』と言う発想自体、現代では少し薄れています。
身近な木でも、葉の形に面白さがないとあまり意匠化されないようです。ここに挙げた草木はどれも特徴的な形だと思いませんか?

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