バケモノスタッフブログ

ヨシダ
2015年04月30日
カルチャー 知識

意外と知らない 和柄の名称【器物の模様編】

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こんにちは。
バケモノブログ木曜日担当のヨシダです。

今回は、「意外と知らない 和柄の名称【器物の模様編】」です。器物とは、身の回りの道具のことです。

日本では何かと「めでたい物」「忌む物」がありますね。例えば、数字だと奇数は縁起が良く、七五三のお参りや、3月3日、5月5日、7月7日の節句があったりします。逆に、偶数、その中でも特に4は縁起が悪いとされています。ホテルなどの建物には4階がない場合があります。

器物にも、やはり「めでたい物」「忌む物」があります。そして、めでたい物の文様を身につけて魔を祓おうとしたり、祈りを込めたりしました。

今回は、身の回りの道具とその文様の謂れを中心に、和柄の名称を10個紹介します。

1. 団扇(うちわ)

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今では夏祭りなどで無料配布されていたりしますが、昔は団扇と言えば高貴の象徴。映画なんかでよく昔の中国の王様が大きな団扇で扇がれていたりしますよね。
一般的に、団扇と言えば丸い形を想像しますが、団扇は意外と形の種類が多く、天狗が使うような羽団扇、相撲の軍配のようなひょうたん形などがあります。それぞれ意匠化されているので、一口に団扇文様といえど様々なデザインがあります。
夏に身につける浴衣などに団扇文様をあしらえば、涼しげで季節感がありますね。

2. 扇(おうぎ)

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扇(扇子)は、団扇と同じく扇ぐための道具です。単に扇ぐという役割だけでなく、儀礼や贈答、コミュニケーションの道具としても用いられてきました。和歌を書いて手紙の代わりにしたり、舞に使ったり、茶道では相手を敬う所作に使われたりします。
身近で重要なアイテムである扇の文様は、現代でも着物の柄などに頻繁に使われています。
また、扇は広げたときの形が末広がりなので吉祥文様とされています。

3. 傘(かさ)

PATTERN COLOR 2

傘文様は、上から見た傘、閉じた傘、開いた傘など、意外と意匠のバリエーションが豊富です。また、蛇の目、番傘、風流傘など、傘自体のデザインも多様なので、傘文様を見ているとまるで万華鏡を覗いているようです。
傘の形の面白さから、江戸時代中期には人気の文様として定着しました。
傘の絵を並べているだけなのに、北欧雑貨のような単純さと可愛らしさがあります。

4.矢羽根(やばね)

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弓矢の意匠は元来、武道を重んじることを意味していました。しかし、矢羽根の形のデザインが多様化し面白いデザインが増えたので、武道とは関係ない人にも広く使われるようになりました。
弓矢は魔を祓うと考えられており、女性の衣類にも用いられます。
下に貼った矢絣(やがすり)の文様は、浴衣や袴の文様としてよく目にするのではないでしょうか?

矢絣(やがすり)

ALL PATTERNS

5.杵(きね)

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杵の形は、餅つきの時に使う長い柄がついた搗杵(つきぎね)と、中央の持ち手がくぼんだ手杵(てぎね)の2種類があります。文様として用いられるのは、手杵が多いようです。
餅は慶賀の時に食べるものであり、杵はそれを搗く道具なので、めでたい文様とされています。

6.琴柱(ことじ)

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琴柱は、琴の弦にあてて音階を調整する道具です。なぜそんなニッチな道具に着目したのかはわかりませんが、確かに独特の形をしています。
鎌倉時代から、女性や子供の着物を中心に使われるようになりました。家紋にも使われています。

7.糸巻(いとまき)

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上の図案の★のような形が糸巻文様です。ちなみに、丸いのは「巴(ともえ)」文様。
「この★型の、どこが糸巻き?」と思われるかもしれませんね。
この★型は、おそらく六角タイプの糸巻きを真上から見た形をモチーフにしています。糸巻文様にはいくつか種類があり、四角、六角、凧揚げに使う柄のついた枠糸巻、機織りに使う苧環(おだまき)などが描かれることもあります。
糸巻の文様は、能装束のほか女児用の衣類などに使われています。糸は長いので長寿を表し、結ぶものであることから良縁を結ぶ瑞祥な文様とされてきました。

8.源氏車(げんじぐるま)

ALL PATTERNS

平安時代、車と言えば牛車のこと。牛車には身分の高い人が乗ったので、車の文様も高貴さを表します。
牛車の文様は車全体を描くことが多いのですが、この源氏車の文様は車輪の部分だけを意匠化しています。源氏物語絵巻に描かれていたことから、源氏車という名前が付きました。
この源氏車の半輪形の文様を「片輪車」といいますが、車が波を切って進む様子に見立てて「波切車」とも呼ばれています。

9.籠目(かごめ)

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竹で編んだ籠の目を意匠化したものです。実は、もともとは亀甲文様だったとも言われています。
江戸時代、籠目の文様は魔除けになると信じられていたので、浴衣などに用いられました。
なぜ籠が魔除けになるのか不思議ですよね。家の入口に籠を置いておくと、鬼が籠の目を数えている間に夜が明けて、入れなくなってしまうと言われているそうです。
やだ、鬼、かわいい。

最後に

器物の文様は、身近な道具に意味を持たせているので面白いです。
身の回りの道具の文様は古くから用いられてきましたが、江戸時代に友禅染が登場したことで、ぐっと絵画的な文様を施すことができるようになりました。
また、現代では、着物は特別な日にしか着ないので、季節を選ばない器物の文様が重宝されています。

最近は、かなりおしゃれな和柄の雑貨がたくさん出回っていますので、お店の人に文様の意味を聞いたりしながら、自分にピッタリなものを探してみるといいかもしれません。

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