バケモノスタッフブログ

ヨシダ
2015年02月12日
カルチャー 知識

意外と知らない 和柄の名称【幾何学模様編】

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こんにちは。
クッキーよりおかき派のヨシダです。嘘です。クッキーもおかきも大好きです。

バケモノのクライアントには、京都や奈良のお客様もいらっしゃいます。
デザインの中に古都らしさをだすため、和柄を使うこともありますが、和柄の名前って意外と全然知らなかったりします。
「ボーダー」「チェック」「ドット」「アーミー」など、英語の模様の名称なら出てくるのに・・・。

やはり物の名称がさらっと出てくると、教養深さ・説得力・尊敬のまなざしが2割増くらいになってきます。
なので今回は、「あー!見たことあるけど名前はわからん!」という和柄の中から、幾何学模様の柄の名称を13個紹介します。

1. 子持ち縞(こもちしま)

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太い縞のそばに並行して細い縞を並べたものが「子持ち縞」。和柄の縞文様は単に「縞」の一言で片づけてしまうこともできますが、バリエーションが豊富でそれぞれに名前がついています。
色の和名は400以上あると言いますが、日本人はなにかと名前を付けて区別するのが上手いのかもしれません。

2. 格子縞(こうしじま)

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いわゆるチェック柄です。
規則的な格子もあれば、変則的な格子もあります。ちょっと変わった格子の例を2つ紹介します。

高麗屋格子

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障子のような格子です。四代目松本幸四郎が身につけて大流行した文様で、流行して以来、松本幸四郎の屋号「高麗屋」を冠した名前で呼ばれるようになりました。歌舞伎役者は衣装の柄がトレードマークになることがよくあり、「三津五郎格子」「団十郎格子」などもあります。

花入り翁格子

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大きな格子の中で、小さな格子が交差しています。翁が大勢の孫を持っている様子になぞらえて「翁格子」と呼ばれているそうです。
子孫繁栄のめでたい文様として、主に男性物が身につけるものに使われます。

3. 石畳(いしだたみ)

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四角い石を敷き詰めたような模様を石畳と言います。正方形に限らず、長方形の石畳文様もあります。
正方形の石畳は、江戸中期の人気歌舞伎役者・佐野川市松が舞台衣装で着用し流行して以来、「市松文様」の名で一般的に知られています。

4.鱗(うろこ)

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三角を組み合わせた文様が、魚や爬虫類の鱗に似ていることから鱗文様と呼ばれています。
能や歌舞伎では、「蛇=女性の嫉妬・執念」を象徴する文様として使われています。

5.麻の葉(あさのは)

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六角形を基本として、斜線などで構成される形が麻の葉に似ていることから、麻の葉と呼ばれています。
江戸時代に、女形として活躍した五代目岩井半四郎が「八百屋お七」役を演じるときに麻の葉文様の振袖を着て、麻の葉文様を大流行させました。
単純なようで、大きさや配色などバリエーションが多く、遊びやすい柄です。麻が真っ直ぐ伸びるので、子どもに身につけさせることもあります。

6.菱(ひし)

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池に生える水草の菱の葉の形をデザイン化したのが菱文様です。
菱文様は古くからあり、正倉院の宝物にも使われています。
単純なデザインなので、動植物をデザイン化した文様と組み合わせて使われることも多々あります。
戦国好きには武田信玄の「武田菱」が馴染み深いのではないでしょうか。

7.亀甲(きっこう)

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正六角形の文様は亀の甲に似ていることから、亀甲と呼ばれています。
亀という縁起物がモチーフなので、日常的なものから晴れの日に使うものまで幅広く使われています。

8.七宝(しっぽう)

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円をつなぎ合わせた文様です。
もともとは「四方襷(しほうたすき)」と呼ばれていましたが、四方(しほう)が徐々に七宝(しっぽう)に変化しました。七宝は仏教において貴重とされる7つの宝のことなので、「七宝=財宝=無限の子宝」というやや飛躍が過ぎる解釈により、めでたい文様として用いられています。

9.輪繋(わつなぎ)

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アウディのマークのような、輪が繋がった文様です。輪の数は決まっておらず、横一列に繋がっているものが多いです。
円は始めも終わりもなく円満具足を象徴する形として、様々な文様に使われています。

10.鮫小紋(さめこもん)

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細かい水玉模様を散点状に配した文様で、鮫の皮に似ていることから鮫小紋と言います
水玉が細かいほど格が高いとされていて、一見無地に見えるくらい細かい鮫小紋もあります。

11.沙綾形(さやがた)

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卍形を崩して連続させた文様を沙綾形と言います。もともとは中国から輸入された沙綾という生地に配されていたことから、沙綾と呼ばれるようになりました。
一見複雑なデザインに見えますがバリエーションが多く、江戸時代には男女関わらずこの柄の着物を身に着けていました。

最後に

もっともっとたくさんの文様があるのですが、今回は13個に絞ってご紹介しました。見たことがある文様はありましたか?
家紋にも共通しますが、日本の文様はシンプルなのに洗練された美しい文様が多いように思います。
今回は、幾何学模様を取上げましたが、動植物や日用品をモチーフにした文様もたくさんあります。徐々に紹介していきますので、お楽しみに。

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