バケモノスタッフブログ

ヨシダ
2015年05月28日
カルチャー 知識

意外と知らない 和柄の名称【食べられる植物の模様編】

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こんにちは。食いしん坊のヨシダです。
今回は、「意外と知らない 和柄の名称」シリーズ、「意外と知らない 和柄の名称【食べられる植物の模様編】」です。

食べられる植物といえば、まず野菜・果物が思い浮かびます。
スーパーで野菜・果物を見ていると、ふと「めっちゃ変な形やん」と思ったりしませんか?

例えば、キャベツみたいな丸い植物、私は他に思い当たりません。身近な食べ物ですが、よく考えると変な形です。

今回紹介する和柄の中にキャベツはありませんが、面白い形の食べられる植物をモチーフにした和柄はたくさんあります。
あまり聞き慣れない名前の植物から身近なものまで、食べられる植物の和柄の名称を8種類紹介します。

1.丁子(ちょうじ)

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あまり聞きなれない植物かもしれません。丁子は、チョウジノキ(クローブ)の蕾を乾燥させたもので、香辛料として使われています。東南アジアやアフリカで栽培されており、日本には5、6世紀に伝わりました。
「舶来品=高貴なもの」というイメージと、形の面白さから和柄の文様として用いられています。

2.茄子(なす)

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一富士二鷹三茄子と言われるように、茄子は縁起物として描かれます。なぜ茄子が縁起物なのかご存知ですか? 茄子と「成す」をかけているそうです。
「為せば成る、為さねば成らぬ何事も、成らぬは人の為さぬなりけり」と詠んだのは、江戸時代後期、米沢藩主の上杉鷹山。大仕事を成し遂げたい、立身出世を願う気持ちが込められた文様です。

3.瓢箪(ひょうたん)

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瓢箪は、水筒代わりにも重宝されるウリ科のツル性植物です。食用できる種類もありますが、観賞用の瓢箪は毒があるため食べられません。
瓢箪文様には、魔除け・子孫繁栄・商売繁盛など、たくさんの意味があります。
その中でも特に瓢箪文様6つを描いて「六瓢(むびょう)」が有名です。六瓢が転じて無病息災の意味となります。

4.銀杏(いちょう)

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銀杏は中国原産とされ、室町時代ごろ日本でも栽培されるようになりました。
銀杏の葉の形がカモの足に似ていることから中国では「鴨脚(イアチャオ)」と呼ばれ、転訛して「イチョウ」となったと言われています。
葉の形が末広がりなので、縁起物として用いられます。
主に葉の形をモチーフにした文様が多く見られますが、葉と共にギンナンの実を描くこともあります。

5.栗(くり)

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古くから賞味されていた栗。比較的獲れやすく、長期保存に適していて、しかも甘くておいしいので、昔から生活に馴染んだ食べ物でした。
米の籾と玄米を分ける要領で、干した栗を臼で搗き、栗の皮を取り除いたものを「搗栗(かちぐり)」と言います。搗と勝が同じ音なので「勝栗」とも呼ばれ、勝負事の前に用いられました。
現在でも、お節料理の栗きんとんに代表されるように、金運や勝負運の縁起物として特別なときに食べます。

6.葡萄(ぶどう)

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葡萄文様はペルシア、ローマなど幅広い地域で豊穣のシンボルとして盛んに用いられ、シルクロードを伝って中国から日本へ伝わりました。
葡萄文様には、しばしば栗鼠(りす)が一緒に描かれます。葡萄栗鼠文と呼ばれ、葡萄の実が多いこと、栗鼠が多産であることから子孫繁栄の吉祥文様とされています。

葡萄文様には、しばしば栗鼠(りす)が一緒に描かれます。葡萄栗鼠文と呼ばれ、「武道に律す」の語呂合わせから武家社会で好まれました。
葡萄の実が多いこと、栗鼠が多産であることから子孫繁栄の吉祥文様とされています。

7.唐辛子(とうがらし)

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唐辛子が日本に渡来したのは16世紀と言われています。はじめは食用ではなく観賞用に用いられました。
九州の一部など一部地域では、唐辛子を胡椒と呼びます。唐との貿易が盛んな地域では「唐枯らし」と同音である「唐辛子」の呼称を避けたためと言われています。ちなみに、柚子胡椒の胡椒は唐辛子を指します。
唐辛子の赤い色が魔除けになるとされており、娘を持つ父親が、「娘に悪い虫が付かないように」という意味を込めて唐辛子文様を用いました。

8.柑橘(かんきつ)

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柑橘の「橘(きつ)」と「吉」の読みが同じなので、大きな柑橘文様は「大吉」を意味します。
良いことが続きますようにという祈りを込めて、柑橘模様を大きく何個も連ねて描くことが多いようです。

最後に

元々観賞用だった植物など、形の面白いものが意匠化されやすかったようです。
縁起物とされる文様が多いですが、モチーフにされた物が縁起物かどうかは、重要ではないと思います。おいしい・たまにしか食べられない・形が面白い・可愛い・図案化しやすいなどの理由が大きいのではないでしょうか。

例えば葡萄文様には、しばしば栗鼠(リス)が一緒に描かれます。
葡萄栗鼠文は子孫繁栄の吉祥文様とされています。ですが実際のところ、栗鼠はそんなに多産ではありません。
葡萄栗鼠文の可愛さから、栗鼠は多産ということにしておいて「縁起が良い上に、かわいい」と多用されるようになったのかなーと、勝手に推測しています。

和柄の名前は、今後も少しずつ紹介していきます。

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