バケモノスタッフブログ

エリック
2015年07月31日
カルチャー

なぜ日本の店員さんは大声で 接客用語を唱和しているのか?!

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photo by Miki Yoshihito on Flickr CC BY-SA

こんにちは、エリックです。私は都会の市民なので毎日平均2回コンビニに行っています。日本のコンビニはアメリカに比べて、めっちゃくちゃ素敵です。お弁当を食べたい時、トイレペーパーがなくなった時、急に必要なものを買わないといけない時、コンビニに行くと何でもそろいます。凄いですね。最近、私の家の近所に新しいセブンイレブンができました。いつも行っていたLAWSONより25メートル近いから、セブンイレブンに優先して行くしかないです。

さっそく先日、開店したばかりのセブンイレブンへ行きました。ピカピカで照明がまぶしいです。雑誌と石けんの棚の間を抜けて、奥の方にあるビールの冷蔵庫に向かいました。奥に近づくと、だんだん変な声が聞こえてきました。誰の声でしょう? 倉庫のドアの中で店員7人ぐらいが同時に言葉を唱えていました。

「いらっしゃいませ!」
「またお越し下さいませ!」

その後はセブンイレブンの会社としての価値観や道徳的な言葉をいろいろ本気の大きい声で繰り返しました。これは「社訓」や「企業理念」だそうです。多くの店で日常的に、こういう行動をしているそうです。そういえば3ヶ月前、Domino’s Pizzaで同じことがありました。一人はピザを作っていました。もう一人はレジの前にいました。そして、最後の人は壁に向かって大きな声で「ありがとうございました!」「ありがとうございました!」「どうもありがとうございました!!」と接客用語を叫んでいました。

「いったい何が起こっているんだろう?」と、外国人の私は凄く驚きました。「新しい宗教が生まれたのかなと思いました。「セブンイレブン教」では、皆が集まって、株式会社の価値観を持ちながら、祈りの言葉を唱えます。「Domino’s Pizza教」では、ピザが美味しくなるように、スタッフが毎日オーブンの隣の壁に感謝の言葉を繰り返します。という宗教を想像しました。

私は子供の頃、教会に行かされました。すごく退屈でしたが、思い出も多いです。まずは祈ることです。皆、目を閉じて、集中して、真面目に本気で感謝や希望や悩みなどを言ったりします。そして、同時に皆が同じ言葉を繰返します。後は、歌や音楽です。この三つの儀式で自分の任務、責任、価値観などを固めることができます。

ただ、私は大人になって、宗教を捨てましたので、店員が宗教を連想させるような行動をすることが、凄く奇妙に感じました。他の国では、スタッフにそのような行為をさせられないでしょう。反抗されます。なぜ日本では、資本主義がそんなに尊重されているのかしらと考えました。

『資本主義=宗教』というより、店員の素直さは別のところから生まれたのではないかと思います。日本の社会は全体的に各分野に分けられ、整理されています。例えば、寿司屋さんになりたいと思ったら、非常に厳しくて伝統的なやり方で何年間も修行を積む必要があります。オフィスで働きたいと思ったら、大学3年生でちゃんと就職活動をしなければなりません。主婦も自分なりに衣類のたたみ方や掃除のやり方を考えているそうです。寂しげなガードマンも、一日に何百回もお辞儀しています。各分野で決まりが多く、素直に行動すれば幸せに順調に進むと信じられています。決まりは決まりだから、反対するわけがない、というふうに育てられているのでしょう。一人ひとりはそう思わなくても、社内や家内の空気がそういうふうになっていて、誰も文句を言いません。

私には、儀式的な行為を完全NOと言うことはできません。実は、日本の料理の美味しさ、ものの奇麗さ、便利さなどは全部この整理に繋がっていると思います。儀式というものは宗教的な行動だけではなくて、私達を安心させるものだと思います。日本で行われている程度まで、あんな本気で儀式することが100%必要かどうかわかりません。それに、一人ひとりの人権が伝統に踏みにじられる恐れがあります。でも、外国人として私の目的は日本を変更することではありません。なので、とりあえず、寿司の美味しさと、もちろんコンビニの便利さを満足するまで楽しみます。

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