バケモノスタッフブログ

中国シネマ:「罪の手ざわり」

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こんにちは。バケモノブログライターのエリックです。
今日は、シリアスな中国映画「罪の手ざわり」を紹介します。

中国で実際に起きた4つの事件

中国で実際に起きた4つの事件を基に作られた映画「罪の手ざわり」。
2013年世界中で話題となり、第66回カンヌ国際映画祭脚本賞をはじめ多数の映画祭で絶賛されました。

ジャ・ジャンクー監督は中国内のメディアを取材し、普通の人が起こしてしまったセンセーショナルな事件を取上げ、今の中国が抱える葛藤や心情の爆発を描きました。
監督が取上げた4つの事件とは、下のとおり。

事件1)汚職だらけの官僚に我慢できない中年男性が銃で何人も殺す。

事件2)家族を養うために男性が泥棒になる。

事件3)役員に暴行されそうになった女性が自己防衛で役員を殺す。

事件4)工場で働いている思春期の青年が生きるとこが苦しくて自殺する。

ニュースでは伝わらない人間の葛藤

なぜこの映画を紹介しようと思ったかというと、最近よく中国の不審なニュースを耳にします。
ニュースメディアは事件を取材するとき、権力の強い立場からストーリーを作ります。
例えば、どこかの国で大きい事件が起こった場合、政治家やリーダーを主役にしてストーリーを組み立てます。
しかし、そのストーリーの中には、見えないところがいっぱいあります。航空写真と同じように、大きい範囲は見えるけれど、その中の細かい経緯は見えない。その地域にいる人達の状態を把握することができない。庶民の立場や権力の無い人のストーリーが見えない。

4つの事件のそれぞれのストーリーは暗く、基本テーマは深いところにあります。
中国の急激な経済発展の中で勝ち負けがあり、負けた方はお金がないだけでなく、人間としての尊厳も無視されてしまいます。

気楽に見られる娯楽映画ではないですが、たまにはシリアスな映画をみて、「なぜ普通の人が罪に触れてしまったのか?」とか深いことを考えてみると、新しい発見があるかもしれませんよ。

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