バケモノスタッフブログ

伊丹十三の映画5選「女シリーズ」

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photo by Forsaken Fotos on Flickr

バケモノ株式会社の奥田です。
近年、CGなどの技術が発達して派手な演出の映画が多いですが、昔の撮りおろしの映画もいいものです。
本日は昭和後半から平成初期に活躍した映画監督の伊丹十三をご紹介します。
その中でも特に私のお気に入りの「女シリーズ」を5つご紹介します。

伊丹十三とは?

伊丹十三は元々俳優やコピーライター、イラストレーターなどマルチタレントとして活躍していましたが、1984年の51歳を境に映画監督に挑戦。
初作品の「お葬式」で新人賞や日本アカデミー賞などの映画賞を30以上も獲得。
その後1997年の突然の死に至るまで13年で10本の映画をリリースした日本を代表する映画監督です。
愛媛県には伊丹十三記念館があり、彼のイラストや脚本の数々が展示されています。

伊丹十三の「女シリーズ」とは?

今回紹介する「女シリーズ」とは
「○○の女」という映画の作品名がつくものです。

  • 【1】マルサの女
  • 【2】マルサの女2
  • 【3】ミンボーの女
  • 【4】スーパーの女
  • 【5】マルタイの女

の全5作品。

この5作品の主演はすべて伊丹十三の妻である宮本信子が演じています。
すべての作品において共通しているのは日本社会の問題点や伊丹十三が実際に取材した内容を元に描かれていること。
シリアスな内容と思いきやその反面、エンターテイメント性もあり、テンポよくストーリーが進んでいくのもおススメです。
それでは「女シリーズ」を紹介していきます。

マルサの女


マルサ(国税局査察部)で働く主人公が脱税と戦う様子を、コミカルかつシニカルに描いています。
ガサ入れや査察のシーンにおいてはマルサOBが監修協力しており、映画でも実際さながらの演技がされています。
暴力団・政治家・銀行がからんだ大型脱税との戦い、その結末は?
ちなみにこの作品はその年のアカデミー賞を総なめにし、ゲームが発売されるほど人気がありました。

マルサの女2


マルサの女の続編。時はバブル真っただ中の東京。
主人公(国税局査察部)と宗教法人を隠れ蓑に脱税を働く地上げ屋や、その背後で動く権力者たちとの攻防を描いています。
主人公を演じる宮本信子は、髪の毛の量と胸が前作より盛られているのもお見逃しなく。

ミンボーの女


暴力団にゆすられるホテルの総支配人は、ホテルを守るべく民事介入暴力を専門とする弁護士を雇います。
数々の嫌がらせに立ち向かい、ホテル従業員が毅然と対応していく状況を描いています。
この映画は時代背景が色濃く出ているのも特徴です。
というのも公開前に「暴力団対策法」が施行されました。
そして宣伝映像で伊丹自身が背中に刺青を入れたことによって反感を買ったかどうかはわかりませんが、
公開後伊丹十三が襲撃され全治3ヶ月の重傷を負い、話題になりました。

スーパーの女


スーパー大好き主婦の主人公が、近くにできた激安スーパーのせいで経営危機に陥った「正直屋」を立て直す様が描かれています。
この映画は1996年6月に公開されましたが、当時の日本はO-157事件や雪印乳業の食中毒事件があり、食の安全に対する問題意識が提起されていました。
また、本作には輸入牛肉を「和牛」と偽って販売するシーンがあります。
2013年に問題となった百貨店・ホテルを中心とした食品偽装・産地偽装を、伊丹十三がすでに取り上げていたところも見どころの1つです。

マルタイの女


伊丹十三の遺作。女優の主人公はある日殺人現場を目撃し、危うく自身も殺されそうになりますが、難を逃れます。
その殺人には宗教団体が絡んでいたことを突き止め物語が動いていきます。
この作品は前述した「ミンボーの女」で自身が襲撃された経験がヒントに作られています。
またオウム真理教を暗に批判した内容が盛り込まれています。
そのほか、三谷幸喜もこの作品の脚本に協力しており、三谷作品に携わっている役者が多く出演しています。

最後に

いかがでしたか?
伊丹十三の作品には津川雅彦・宝田明・伊集院光・あき竹城といった俳優が何作品にも渡って違う役で演じられているのも特徴の1つです。
作風に統一感と安心感があってとても素敵です。
皆さんも作品を見て感想を教えてくださいね。
それではまた。

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