バケモノスタッフブログ

良い建築デザインとは?建築デザインの力が意外にすごい!

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photo by Bert Kaufmann on Flickr

こんにちは。米国人ライターのエリックです。
今回は少し長いですが、建築について書きます。

建築デザインは何のため?

建物とは一体どういうものでしょうか。
日本の場合、ビルが多いです。第二次世界大戦後、大阪や東京の都会が復活して、ビルが次々に建てられました。
大半のビルは印象的なものではありません。空に突き出している灰色の長い消しゴムみたいです。馬鹿らしいイメージだけど、醜いと言いたくありません。ただ、こういう風景を見ると、私たちが作った社会の価値観について考えずにいられません。

人は毎日建物と関わっています。家から駅まで、駅からオフィスまで、オフィスから食堂までなど、都会では1日に何人がビルを出入りするのか数えられない程です。
ビルにはそれぞれ目的があります。駅は人を移動させるため、オフィスは人が働くためにあります。

ビルはその目的を達するため、意図的にデザインされています。これは建築というものですね。
頭のいい建築家は何年も勉強して、数学などを身につけて、建物を作るようになります。
でも、数学や技術だけではなく、ビルの実用性をちゃんと適用するため、様々な哲学的な要素を考えなければなりません。

建物の目的を、建築デザインで表現する

たとえば、警察署の建築デザインは何を表現するといいでしょう?私の理想的な警察署を提案します。

理想的な警察署:

1:壁が真っ黒の大理石

理由:黒い大理石は強さを表現します。このビルに入るとすぐ、強いものに囲まれているのに気付きます。

2:床は冷たいコンクリート

理由:法律は同情的なものではありません。床を踏むと堅く反響した方がいいでしょう。

3:天井は8メートル以上高い。

理由:背が高いと威圧感がありますね。

4:窓が少ない!

理由:窓があれば、窓越しに警察と関係ないものが見えてしまいます。それはだめです!

5:緑が少ない!

理由:植物があると安心するから要りません!

6:入口には大きなコラム(柱)があればいいですね!

理由:コラムを見たら「ここは警察だ」と実感します。

結論:建築デザインで、建物の目的を表現することができます。

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photo by Obigt, W
実例:Berlin,Neue Reichskanzlei(アドルフ・ヒトラー 新総統官邸)
怖いです!

歴史の中で様々な建築が建てられてきました。
現在の建築でも過去の建築様式がよく使われています。特にローマ帝国からのコラム(柱)が大人気です。それがあれば、建物の目的がすぐにわかります。だから、現在の官公庁(裁判、市役所など)はコラムをよく使います。「私たちはあなたたちより権力があるよ」と伝わってきますね。

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photo by Wiiii

官公庁はコラム(柱)で権力を表現します。
そう考えると、図書館、美術館、オフィスタワー、喫茶店など、あらゆる建築は様々なツールを使って、目的やアイディアを表現しています。

哲学分析タイム

「哲学と建築は関係があるのか?!」はい!関係あると思います。
建築デザインで、目的やアイディアを表現することができます。

その概念を把握しながら、風景をもう一回観察しましょう。
そして私が考える「良い建築デザイン」「悪い建築デザイン」を見てみたいと思います。

良い建築デザインの例:建物の未来を提案している建築

1)Seattle Public Library(シアトル市立図書館)

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photo by Padraic on Flickr

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photo by Seattle Municipal Archives on Flickr

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photo by alaina buzas on Flickr

ネットやスマホが普及した2015年、図書館はどういう場所であるべきでしょうか。シアトル市の公立図書館は「こういう場所です!」と述べています。

外側は完全に現代的で、建物の中は本棚ばかりではなくて、集合できるスペースが多いです。
現物の本は減り、図書館は様々なメディアで知識を広めるための場所になっていくと建築に表現されています。

2)The Highline NYC

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photo by John Gillespie on Flickr

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photo by brownpau on Flickr

Highline Curved Bench
photo by Marc Palumbo on Flickr

ゆっくりぶらぶらできる場所が少ないニューヨーク市では、放置された鉄道跡地を公園にしました。都市の中には捨てられた建築が多くありますが、その場所をリノベーションして活用すればいいでしょう。この公園はそのコンセプトで作られました。

3)金沢21世紀美術館

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photo by Kentaro Ohno on Flickr

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photo by Kentaro Ohno on Flickr

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photo by Kentaro Ohno on Flickr

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photo by scarletgreen on Flickr

無料で入れる(有料のギャラリーもあります)金沢21世紀美術館は、広くて、和やかで、完全いい雰囲気です。

外でも散歩できるし、中にも座るところがいっぱいあります。

悪い建築デザインの例:お金で腐った社会を象徴する建築

1)ドバイの高層ビル

この砂漠から
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photo by Zach Dischner on Flickr

このビルだらけまで
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photo by Mohammad Sabbouh on Flickr

この2つは隣接した景色です。

ビル群は、全部高層ビルです!建築の力で高層ビルを作ることができますね。このビルが私たちに伝えていることは何でしょう。コラムが表現しているような権力ではありません。このビル群からは、社会の派手さだけが伝わってきます。
畏敬の念を抱くけれど、少し深く考えてみれば、この馬鹿ばかしい高層ビルはいいものと言えません。

ビルが建つことで社会の価値観が共についてきます。高いビルを作ることはどういう競争でしょうか?人にどんなふうに役に立つでしょう。
例えば、建築を人間のタイプに例えると、このビルはどういう人物でしょう。(多分)土曜日の昼にランボルギーニを運転している40年代の独身男性です。財布の内容がやばいですが、喋ったら頭の中は空っぽとすぐ気づきますね。ドバイの建築を見たら、そういうふうに感じます。

2)ニューヨーク市マンハッタンミッドタウン町

ニューヨーク市は、資本主義の都と言えるでしょう。お金持ちでないと住めないマンハッタン島には、めっちゃくちゃ高いビルが建てられています。

lower Manhattan (WTC Towers in bckgrnd), c. 1990's
photo by rik-shaw on Flickr
90年代のマンハッタン

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photo by  NYREV, Inc.
この10年以内にマンハッタンに建つ予定の高層ビル

細くて高いビルがいっぱい立っています!建築は高度な技術が必要ですが、価値観はどうかしら。高い価値観と言えるでしょうか?

ドバイと同じように派手さが目立ちますが、一つ違いがあります。ドバイは砂漠から直接、あんな変な都会になりました。マンハッタンは昔のマンハッタンから現在の変な街になっています。つまり、以前の歴史と特徴が消されています。

とにかく、このビルはセントラルパークの南側に建てられているそうです。
今年、一つのペントハウスが約121億8千万円(1ドル=120円で計算)で売りに出されました。世界中の一流お金持ちが、ニューヨークの不動産を購入しているので、こういう建築物が存在します。
実際ここには住んでおらず、投資として購入している人が多いです。マンハッタンの中心は具体的な市より投資物になっていきます。世界中の退廃がこのビルに表現されています。

21世紀の資本主義社会は、昔と比べられない程の一級のお金持ち(1%とよく呼ばれています)がロンドン、ニューヨーク、ドバイなどの不動産を持っており、その影響で建築物も変わっています。
私たちの社会、私たちの風景は経済格差の影響で変遷を遂げていきます。

エリックの最終結論

建築は人間の意識を導くことができます。
例えば、「良い建築デザイン」の例に挙げたような、未来を提案する建築デザインに囲まれると、自分の生活、自分の価値観などがその風景によって調整されます。高級オフィスタワーに囲まれると、人間は事務的な機械になるべきだと思うようになります。消費者向けのショッピングモールに囲まれたら、それも自分の意識を変更します。

21世紀の日本ははどういう建築があるんでしょう。改札を通って外に行けば、何に囲まれるでしょう。その建築は、どんな風にあなたの意識を支配するでしょう。

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photo by Luke Ma on Flickr

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