【南森町奇譚】マロンケーキ
事件が起きたのは、12月24日、クリスマスイブの夜のことだった。
頭部に傷を負った女性が倒れているのが発見されたのである。
被害者はヨシダ。発見が早く一命はとりとめたが、ヨシダは怪我のショックで事件当日のことを全く思い出せない状態であった。警察の懸命の捜査により、現場から犯人のものと思われる遺留品が見つかった。
容疑者と目される人物は、オクダという男だった。
「オクダ、クリスマスイブの夜はどこにいた?」
取り調べの刑事がガサツながら穏やかな声で質問する。
「仕事をしていました。私にはアリバイがあります。」
オクダはふてくされながら、容疑を否認した。
「嘘をつくな、オクダ。お前が現場にいたのは間違いないんだ!」
「何か証拠でもあるんですか?」
刑事は内ポケットから証拠品を取り出した。
「これが、現場に落ちていた。」
オクダはハッとした。次の瞬間、涙がほほをつたいオクダは下唇をぎゅっと噛みしめた。
刑事はオクダの肩に手をあて、そっとなだめるように話し始めた。
「田舎のお母さんが、毎年クリスマスに作ってくれたんだよな・・・。お前はそれが嬉しくて大好きだった。大阪に出てきてからは、いつも持ち歩いてたんだろ、このマロンケーキをさ。」
オクダはすすり泣いた。
「刑事さん、すみませんでした。」
「認めるんだな?」
「・・・はい。あの夜、あの女が、私のマロンケーキを盗み食いしようとしたんです。あいつは、いつも狙っていました。それで、あの夜、『いい加減に食い意地を直せ!』と注意したんです。なのに『1個くらいいいでしょ、ケチ』と言い出して、それでカッとなって、つい・・・」
「そうか・・・。それは大変だったな、カツど・・・マロンケーキ、食べるか?」
「・・・・・・はい。」
この日オクダが口にしたマロンケーキは、甘く、しょっぱい味がした。
マロンケーキの材料
卵 4個
三温糖 80g
強力粉 93g
抹茶 7g
はちみつ 45g
お湯 20g
栗の渋皮煮 8個
チョコレート 1枚(ミルクとホワイトを半分ずつ)
こちらのレシピを参考にさせていただきました。
http://cookpad.com/recipe/1223821
マロンケーキの作り方
① オーブンを180度に予熱。型にバターを塗り、クッキングシートを敷く。
② 栗とチョコレートを並べる。
③ ボウルに卵と砂糖を入れ、湯銭にかけながら泡立てる。
④ のの字が書けるくらいまで泡立てる。
⑤ お湯で溶いたはちみつを加え、ふるっておいた強力粉と抹茶を混ぜる。
⑥ 型に流し込む。
⑦ 50分程度焼く。
⑧ 出来上がり。
ワンポイント
残念ながら、めっちゃ焦げてしまいました!
オーブンによっては、レシピ通り作っても焦げてしまうことがあるそうです。そういう時は、直に熱があたらないように焼きの途中でアルミホイルをかぶせるといいそうですよ。間違っても、焼き時間を短くする、温度を下げるなどはしないでくださいね。生焼けになると取り返しがつきませんよ!
●黒い皿と同化している
●中はまあ、食べられました
ちなみに冒頭の小話は全編フィクションですが、作り方は本当です!