バケモノスタッフブログ

あさくら
2018年12月31日
カルチャー 音楽

とあるバケモノスタッフによる、おすすめクラシック曲を紹介する記事
~全く曲と関係のない どうでもいい個人的コメントを添えて~

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とあるきっかけで2018年1月頭~4月末の約4ヶ月間にわたり、計59曲ものクラシック曲をどうでもいいコメントと共に1日1曲、バケモノ社員にメールで紹介しまくるという所業をなしたスタッフがいた(名付けて『今日の1曲』)。
59曲という中途半端な数字が実に惜しいところだが、件のスタッフと周囲のメンバーの要望により、ここにその1部を紹介しようと思う。
曲チョイスは各メンバーのお気に入り曲で構成されている。

1人目 オクダチョイス曲

okuda

Mr.オクダ
言わずと知れたバケモノの代表。『今日の1曲』が生まれるきっかけを作った当人。
ちなみに、クラシック曲の中で一番好きな曲はドビュッシーの「月の光」らしい。

ツァラトゥストラはかく語りき(冒頭)

by リヒャルト・シュトラウス

『2001年宇宙の旅』やその他CM、TV番組内でお馴染みの曲。
ニーチェ先生の同名の著作にインスピレーションを得て作曲されたようだが、如何せん曲名が覚えにくい。
この曲名を聞かれてさらっと答えられる人は、多分そこそこのマニアかまたは天邪鬼な性格の持ち主だと思う。私は答えられない。 

交響詩の冒頭に相応しい勢いと迫力のある曲調は、出オチネタやショートコントとの相性がばっちり。
ダーン♪ダーン♪ダーン♪に合わせて写真の一部が拡大されていき、ダダーン♬の部分で問題の面白い部分が画面いっぱいにドアップされる演出は非常にベタだが、曲の破壊力ゆえに不可避に面白い。
心霊番組の「お分かりいただけただろうか?もう一度ご覧いただこう…」のナレーションの後にこの演出をぶちかましたのなら、怖いのが苦手な人でも少しはホラーを楽しむことができるのではなかろうか?

アイ・ガット・リズム

by ジョージ・ガーシュウィン

アップテンポ版

スロー(元テンポ?)版

上原ひろみ版

私がこの「今日の一曲」内であげた曲の中で、強いて1番好きな曲を決めるとしたら、この曲である。
理由はないがなぜか物凄く大好きで、大好きで、大好き。
もともと動画の方で紹介しているアップテンポ版しか聞いたことがなく、すごくノリノリな曲ですぐに好きになった(そして案の定ゲームの音楽に使った)。暫くはアップテンポのみ延々リピートしていたのだが、ある日借りたクラシックCDの中にスローな(元テンポ?)この曲が入っており、曲が始まり私はとてつもない衝撃を受けた。
い、、、色っぽい、、、!! なんてしっとりとして、美しいアイ・ガット・リズムなのだろうか。
これまでのアイ・ガット・リズムが昼間のわんちゃか賑やかバーならば、このアイ・ガット・リズムは夜の薄暗くムーディーなバーでしっぽりと1人ウイスキーをロックで飲んでいる色男の横顔ではないか……!
水も滴る色男。その少し憂いた横顔。色気というのは乾きの中にはない、潤いや水気があってこその艶やかさなのだと、私は思い知った。
この時から私は自分の気分に合わせてアップテンポとスローを聞き分けるようになった。
セクシーなの、キュートなの、どっちが好きなの状態であるが、私はどちらも大好きだ。 

アイ・ガット・リズムで驚いたことといえば、動画でさらに追加で紹介している上原ひろみ版である。
上原ひろみは日本の女性ジャズピアニストなのだが、彼女の演奏はとにかくすごい。
なんか、すごい、としか言いようがない。初めて見たときは開いた目と口が塞がらなかった。
指、どうなっとるん?え、ほんと、指どうなっとるん?? え、やばない? え、なにこれ、え。みたいな。
彼女は1年の3/1か2を海外で暮らしているらしいのだが、たまに日本のバラエティー番組に出演している。
その中でも私が一番好きなのが、バカリズムの音楽番組でのバカリズムと上原ひろみの2人によるきらきら星演奏である。
バカリズムがメロディーを弾き、上原ひろみが伴奏を付けるのだが、それがもう、本当にすごく素敵なのだ。
メロディーは本当にただの変哲もないきらきら星なのに、伴奏が違うだけで雰囲気が途端にガラッと変わる。
弾いているのが楽しいという感情が見ている側にも伝わってきて、私もきらきら星のメロディーを弾いて上原ひろみに伴奏付けてほしくなる。バカリズム、羨ましい。
いつか上原ひろみの生コンサートに行ってみたいものである。

2人目 アワタチョイス曲

awata

Mr.アワタ
現在、岡山で1人奮闘中。多分バケモノ社員の中で1番口笛が吹ける。
ブラックユーモア好きなのか、すぐにブラック時事ネタを取り入れる傾向がある。

ピアノソナタ第8番 ハ短調 『悲愴』第1楽章

by ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン

「悲愴」といえば、第2楽章が有名である。
ボートレースのCMで歌として流れたり、中高生の合唱曲の1フレーズに入っていたり(曲名:心の中にきらめいて)と様々な場面で使用されることが多く誰もが耳にしたことのある曲だと思うが、私は断然第1楽章推しである。

ひっそりと心の葛藤を思わせるような静かな導入からの、怒涛の音連打が最高にカッコいい。
初めて聞いた時は、本当に、リアルで、あまりのカッコよさに噴き出しつつも両手で顔を覆ってしまった程である。
オタク的例えを出すのであれば、普段線の細い美少年な推しキャラが男らしい一面を出した時のような…、普段チャラい系の推しキャラがふと真摯な顔つきになった時のような……、とにかく曲の入りと変化のギャップがものすごくツボなのだ。
クラシックと萌えは共生できる、それを私に教えてくれた曲である(ふむ、クラシック曲の擬人化か……)。
途中に入る明るい響きのフレーズも、この物語のキャラクターの精神的余裕や、または悲嘆に差し込む一筋の希望の光のような妄想を掻き立ててくる。
毎回聞く度に、「…好き♡」と少女漫画のお惚気ヒロインのような気持が芽生える、大好きな曲である。
THEカッコいいクラシックピアノ曲大賞金賞を捧げたい。

3人目 ミナミチョイス曲

minami

Mr.ミナミ
前職はパン屋という持ちネタがあったはずだが、最近はすっかり忘れられつつある。
「〇〇ある?」と聞くと大抵「持ってますよ」と答えるため、Mr.オクダに「世界が滅んでも生き残っている人間」認定されている。

死の舞踏

by カミーユ・サン=サーンス

オケ版

ピアノ版

曲名からして中二病患者が大好きそうな曲。勿論、私も例によって例の如く好きな曲である。
サン=サーンス作の交響詩と、リスト編曲のピアノ独奏版の2つがある。
原題は「Danse macabre 」。
ここでこの曲を「死の舞踏」と呼ぶか、「ダンス・マカブル」と呼ぶかで、その後のその子の中二的進路が決定しそうである。
前者は技名や能力名に漢字を使いたがり、後者であれば色んな国のカタカナ語を使いたがる中二病に成長するのではと私は推察している。
私はその2点の中間地点に立っているが、漫画BLEACHを連載していたオサレ師匠レベルになると、「死の舞踏」と書いて「ダンス・マカブル」以外のオサレな読み方の能力でもって主人公サイドを圧倒しそうである。

話は曲の雰囲気に戻り……。
静かな冒頭からの不穏な雲行き、そして殺伐としつつもクールで華やかな骸骨の舞踏を彷彿とさせるメロディー。
生きとし生けるものの命を、死の権化である骸骨がまるでダンスのステップのような優雅さでもって蹂躙しているようなイメージが浮かぶ。
有名どころの絵画で例えるなら、ブリューゲル作の「死の勝利」が相応しい。
これも中二病が大好きそうな絵である(そして私も好き。ブリューゲルは中二病の心を擽る天才だと思う)。
…のだが、Wikiを読む限り曲の内容は存外可愛らしく、夜明け前に骸骨が逃げていく様など、太陽が昇ると姿を消す百鬼夜行のような憎めない一面が見える。
美術の方の死の舞踏のシリアスな内容と比べると、随分とエンタメ的な進化を遂げている。
美術の方はまさに私が思い描いていた死の舞踏そのものだが、音楽の方はひと昔前のブラック気のあったカートゥーンアニメにも出てきそうなストーリーになっている。
死の舞踏が出始めた時は「死の絶大さ」への恐れが強く価値観に根付いていたであろうが、時を経て、「死」も夜中の12時~夜明けまで踊ってお休みするぐらいに落ち着き、その恐ろしさが薄まり誰でも楽しめるような内容へと変容していっている。
世の中のショッキングな出来事というのは、このように時間がたつとエンターテイメントに姿を変えて人々の中に受け入れられていくようになっているのだろうか。
エンターテイメント的な存在へと変貌したからこそ、その後長い時を経てもこうして作品が人々の間で残り続けていくことができるのだろうか。

アワタ&ミナミチョイス曲

口笛吹きと犬

by アーサー・プライヤー

通常版

口笛版

CMだったり何だったりで、誰もが一度くらいはどこかで聞いたことがあるであろう曲。
日曜日の朝の公園で口笛を吹く少年に駆け寄っていく子犬。
1人と1匹とがじゃれ合い、どこかへと去っていく様子を表した曲で、子犬のモデルは作者であるプライヤーが飼っていた曲だとか。
始終愉快で、聞いている私も自然と曲に合わせて歩き出したくなってくる。
しかも曲の最後には……、と、こちらの方は実際に曲を聞いてもらうこととして。

口笛吹きというタイトル通り、鼻歌ではなく口笛でこの曲を歌いながら春の麗らかな青空の下を散歩したいものだが、まあ、挑戦してみた人間は分かると思う。
この曲、口笛じゃ歌えねえ。
1音目は良いとして、2音目からしてもう音が出ない。
どれだけ頑張っても出ない。めちゃくちゃ舌を動かしたり、唇の突き出し方を変えてみたり、空気の量を変えてみたり、何なら表情自体人に見せられないようなものにしてみたりしたが、出ない。
2音目を出そうと奮闘し撃沈している姿の私は、さながら陸に打ち上げられたカワハギのような外見になっているのだろうと冷静に自己認識するのが関の山である。
世の中には口笛のプロが存在しているが、彼らのすごさがより一層身に染みて分かる曲である。

余談だが、私が通勤している時いつもすれ違う口笛吹きの男性がいた(最近は電車に乗る時間を変更したため、見かけていない)。
彼はいつもなにがしかの曲を吹いているのだが、まあその音域が広いこと。軽く私の口笛音域の5倍くらいはあると思う。
この間のひな祭り前日くらいの日にもすれ違ったのだが、その時はひな祭りの曲を吹いていて心がほんわりした。
行事感あふれた曲チョイス、とても良いと思う。子どもの日前後には鯉のぼりの歌を吹いてくれるのだろうかと、今から期待している私がいる。※

※ 後日遭遇したところ、口笛吹の男性はちゃんと鯉のぼりをふいていました。

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