徒然書評

『ビブリア古書堂の事件手帖』:三上 延

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こんにちは。徒然書評へようこそ。
書評ライターのTKです。

第8回目の寄稿となります。

春の陽気に誘われて外に出てみたものの、意外と強い日差しのせいで、戦略的撤退を余儀なくされました。
読書は家の中でするに限ります。

さて、本日はこの作品をご紹介します。

『ビブリア古書堂の事件手帖』:三上 延

ビブリア古書堂の事件手帖―栞子さんと奇妙な客人たち (メディアワークス文庫)
ビブリア古書堂の事件手帖 著者:三上 延 出版社:アスキーメディアワークス

以前にドラマ化されていましたので、「えっ今更?」と思われた方もいるかもしれません。
ですが、小説原作のほうは今でも継続的に出版されており、現在第6巻が発売されています。

この作品は、篠川栞子という古書店『ビブリア古書堂』店主と、そこへアルバイトで入った五浦大輔の二人が、“古書”にまつわる様々な事件に巻き込まれ、四苦八苦しながら事件を解決に導いてゆくというストーリーです。

2012年には、作品の中の一編が日本推理作家協会賞を受賞しています。そう、本作はミステリなのです。

古書店。
個人的にもときどきのぞくことがありますが、普通の本屋さんとは違います。

当然新刊は置いていません。
入口でワゴンセールをやっています。
何がどこにあるのか、店の人に聞かないと分かりません。

古書店を良く知る人からすればいろいろ批判はあるでしょうが、近くの古書店さんはこんな感じのお店が多いです。私はエセ常連客なのでご勘弁を。

行ってみればわかりますが、本の海の中を泳いでいるようなそんな気分にさせられますね。

いえ、大げさでした。そんな気分にはなれません。
ともかく乱雑なので、苦手な人もいるでしょうし、わくわくしてくる人もいるでしょう。

話が逸れましたが、本作の特徴は連作の短編集となっていて、一つの短編で過去に現実に出版された“名作”が題材として取り上げられているのです。

第1巻 第1話では『夏目漱石全集』、第4話では『晩年(太宰治)』などの名作が取り上げられ、中身の解説はさることながら、作者の来歴や作品が生まれた背景についても、栞子が大輔に教える形で、読者へ解説してくれるのです。

こんなもん知ってるわ、という重度の古書マニアの方には物足りないと思いますが、年間数冊程度しか読まないレベルの一般の方にとっては、教科書では教えてくれなかった新たな発見があなたを待っているかもしれません。(宣伝みたいな書き方ですね。)
実際に、紹介された古書の売上に影響を与えたりはしているようですし。

“ミステリ”の部分に関しては、人が死ぬとか殺すとかそういう物騒なものではなくて、あくまで“日常の謎”というジャンルのものです。バイオレンス表現が苦手な方にとっても安心して読めます。

第6巻が発売されて、シリーズものとしてのストーリーもクライマックスに近づいてきているようです。
刊行数もそれほど多くありませんので、暇つぶしにはもってこいです。

もしドラマ版の篠川栞子しか知らない方がいたら、是が非でも原作小説をお読みになるべきだと思います。

もちろん深い意味はありませんからね。

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