徒然書評

TK
2015年01月09日
小説 経済・社会小説

『銀翼のイカロス』:池井戸 潤

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こんにちは。徒然書評へようこそ。
ライターのTKです。

突然ですが、私、自分が読んだ書籍の要約や感想を趣味でまとめていたりします。
ライターというとおおげさですが、バケモノが書評コンテンツを作りたいという話を聞いたので、一肌脱ごうということになったわけです。
ボランティアです。

私も会社員の端くれ。意識の高い会社員を演じるために、読みたくもないドラッカーやカーネギー、スタバやディズニーの美談でまとめられた本なんかを読んできたわけです。
そこで、最近読んだ書籍の中で興味深いと感じた作品をご紹介します。

こちらです。

『銀翼のイカロス』:池井戸 潤

銀翼のイカロス
銀翼のイカロス 著者:池井戸潤 出版社:ダイヤモンド社

・・・ドラッカーやカーネギーとは毛色が少し(だいぶ)違いますが、会社員の方なら目を通されていることでしょう。たぶん20代から30代ならドラッカーより読んでいる人は多いんじゃないでしょうか。まったく根拠はありませんが。

いわずと知れた「半沢直樹」シリーズの最新刊です。週刊ダイヤモンドというビジネス誌で連載されていたものが、単行本となりました。ドラマでもかなりの視聴率を獲得しており、あえて説明の必要はないでしょう。
主人公・半沢直樹が拳を武器に上司と戦う・・・あ、これはサラリーマン金太郎でしたね。半沢直樹シリーズは、頭脳や駆け引きを武器に上司や敵対勢力からの外圧を、半沢がねじ伏せていく痛快なストーリーが持ち味の小説です。
ドラマの最終話では自身が勤める銀行から、子会社への出向を命じられました。本作は、銀行へ復帰した後の話となります。例によって上司から無理難題を押し付けられた半沢が、紆余曲折を経て、悪(対抗勢力)を懲らしめるというストーリーです。

作者の池井戸氏は元銀行マンです。そこでの経験を生かそうと、銀行を舞台にした小説を専門に取り扱っておられます。氏の小説はほとんど読みましたが、大部分が舞台を銀行にしたエンターテインメント小説です。本人も「エンターテインメントが好きなミステリ読者に読んでもらいたい」ということから、痛快で、単純なストーリーを心がけているとかいないとか。特に半沢直樹シリーズは、その傾向が強いように思いますし、大ヒットの理由もそこにあるのでしょう。

本作『銀翼のイカロス』を勧める深い理由はありません。ステマとかでもないです。ただストーリーが単純明快で読みやすいこと。勧善懲悪の形になっていて読後感が爽快なこと。そして、ドラッカーやカーネギーが言っていることよりも、現代の問題に即して書かれているため、実感がわきやすいといったところでしょうか。わけのわからない比較をして大変申し訳ありません、お三方。
個人的なメリットを申し上げると、半沢直樹シリーズが好きな上司がいるため私にとってはマストアイテムだということです。どう考えてもデメリットですね。

全国的にブームになりましたので、このようにコミュニケーションツールとしても有効活用できます。内容の説明をしてくれてないじゃないかという指摘は置いときまして、半沢直樹シリーズ自体、経済の中心たる銀行を取り扱ったものです。小説とはいえ、金融の世界に身を置き、自ら体験してきた作者が描くリアルな銀行観を、作品を通して追体験することができるかもしれません。
そういう意味では貴重な作家の1人であり、新作が待ち遠しい作家の1人でもあります。とりあえず、書店で手に取ってみてはどうでしょうか。

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