鍋ドラフト……
みなさんはこのエクストリーム競技をご存知だろうか?
鍋ドラフトとは、端的に言えば「抽選でお鍋の具材を奪い合う」競技である。
ルールは至って簡単。
①まずは、お鍋の具材と、それに対応するカードを人数分用意。
②それぞれの具材の獲得権を巡って指定回数抽選を行う(抽選回数は用意した具材の数などにより調整)。他の参加者と「欲しい具材」が被らなければ指名具材をGET、被ったら再抽選となる。
※全員被らなければ抽選は発生しない。また全員が同じカードを出した場合は参加者全員で再抽選。当たりの1名以外はハズレ食材となる。
③具材が決まる度にそれぞれの鍋に投入。食材は抽選の度に食べなければいけない(←ここ重要)。
以上①〜③をカードが全てなくなるまで繰り返し(今回は6順目まで行う)、最終的に鍋の優劣を決めるというものだ。
そして2015年……新たな1年を迎えた3名の無謀勇敢なる漢が鍋ドラフトの戦場に集う――
鍋ドラフトに参加する3名を紹介しよう!
1. バケモノ株式会社代表取締役社長 奥田修平
いい具材を手に入れおいしく鍋にする!そのために本日ここにやってきました。
2. 同スタッフ アワタ氏
確かな戦略でシャイニングロードを築き上げたいです!
3. 同スタッフ エリック氏
組み合わせていない食材で新しい鍋にチャレンジします。食べきれるよう頑張ります!
続いてお鍋の食材紹介だ!!
今回の鍋ドラフトで奪い合う食材がこちら。
①うどん ②ウインナー ③しめじ ④ちゃんこ鍋の出汁 ⑤トマト鍋の出汁
⑥つみれ ⑦ごはん ⑧豆腐 ⑨ねぎ ⑩白菜
⑪鮭 ⑫牛肉 ⑬豚肉
これとは別に出汁の選択肢として「水道水(出汁なし)」がある。
とはいえ水道水以外は至って普通の鍋食材である。
なんなら普通にお鍋にして美味しく頂いてしまいたいところだが
そう簡単にはいかないのが鍋ドラフトの醍醐味。
とはいえ、この具材ラインナップなら多少抽選に漏れたところで無難なお鍋になってしまうに違いない。
わざわざ新年早々集まっておきながら
「味が薄かったね!」だとか
「いいなぁ〜、俺は豚肉より牛肉がよかったよ〜ハハハ」
だなんて月並みな感想は求めていないのである。
無論…あるっ!!
……外れ食材!!
しかも多数……
当たり食材に劣らず数多っ!!
いわば有象無象の
鍋具材不適格っ!!
(意訳:抽選で被っちゃった人のうち、必ず一人は再抽選でハズレ食材を引くことになります。当たりの人は本来希望していた食材をGET。なおハズレ食材のラインナップは次第に明らかになりますが、今回のコンセプトは「意外と合うお鍋の組み合わせを探そう!」なので、所謂ゲテモノの類はありません)
いよいよ、戦いの火蓋は切られる―
1順目:出汁の選択
それでは第一ラウンド。
1順目はお鍋のベースとなる「お出汁」の選択。
このラウンドに限っては「ちゃんこ鍋の出汁」「トマト鍋の出汁」「水道水」の
いずれかのカードを出さなければならない。
然るに参加人数は3名……
つまり、最低一人は水道水、もしくは「ハズレお出汁」を選択する羽目になるのだ……
いざ尋常に! 運命の選択!!
まさかの水道水被りである……
もっと……こう……あるだろっ! トマト鍋とか……
Q.なぜ水道水を選ばれたのですか?
アワタ:ウケ狙いで……
エリック:さっきルール説明の時に水のことを言っていたので……
鍋に対するリスペクトの足りないアワタ氏に(天罰が降りますよーに★)
イマイチルールを理解していないエリック氏。
だが問答無用。ルールに則って再抽選である。
結果は……
当たり:アワタ(水道水)
再抽選を勝ち取ったものの、早くも道を誤りそうなアワタ氏(?)
曰く「シャイニングロードやんけ!」。
やたら嬉しそうだが、大丈夫か?
外れ:エリック(牛乳)
「オーマイガッ! 嬉しくない…牛乳鍋イケるの?」
しかし牛乳のほうが当たりのような気が……
なお、奥田は「ちゃんこ出汁」。一歩リードである。
2巡目:最初の具材
これまでは序章にすぎない。
いよいよ具材の選択へ。それぞれの思惑が交錯する……
アワタ「どうせみんな肉とか選ぶんやろ……シャイニングロード築いとかな!」
奥田「俺は豪華にしたい、ちゃんこっぽくしたい」
エリック「なんでも選んでいいんですよね?」
奥田:牛肉
アワタ:うどん
エリック:はくさい
うどん・・・・・・??
なぜこのタイミングで・・・??
アワタ氏はどうかしてしまっているのだろうか?
いきなりシメの食材を選ぶというのも意味不明だが
そもそも水道水でうどんを茹でたって美味しいわけがない。
なのに、なぜうどんを選んだのか??
とにかく疑問は尽きないが、ひとまず当たりを引いた面々の様子を見てみよう。
当たり:奥田(牛肉)
「よっしゃーーーーーー!!!!! 牛肉——————っっ!!!」
「しゃぶしゃぶ!!! しゃぶしゃぶ!!!」
ちゃんこ道まっしぐらである。
当たり:エリック(白菜)
「まあ、意外においしいですよ」
牛乳に白菜はそれなりにイケるようだ。
当たり(?):アワタ(うどん)
……それでは、うどん投入お願いします。
「え、選んだらすぐ食べなアカンの?」
・・何言ってんだ、コイツ?
彼もどうやらルールを理解していないようだ。
もちろん、ルールはルール。知らなかったでは済まされない。
本人はどうも釈然としない様子だが、早速茹でてもらおう。
明らかに鍋の大きさに対してうどんが多い。
アワタ「これは、最初にうどんを茹でることで水にデンプン質を溶かす戦略で……」
一同「へー(聞いてない)」
さて、水茹でうどんのお味は……
「小麦本来の味がする。やさしい味。かすかな塩味と、小麦の香り。醤油がほしい」
「不味くはないですよ、味はないけど」
「だんだんおいしく感じてきた。人類の食べ物ってこういうものなんじゃないかな。昔は調味料もなかったんやからさ」
もはや正当化するしか彼の精神を保つ術はないようだ。
3巡目:過ちは繰り返す
「ここらで変化をつけたいな」とアワタ氏。
是非ともまともな食材を選んでいただきたいものである。
抽選の結果…
奥田:ウインナー
アワタ:鮭
エリック:ウインナー
アワタ「やったね! 海鮮の出汁が!!」
喜びのあまり涙ぐむアワタ氏。
……よかったね、アワタ君(意味深)
一方、被ったウインナーは再抽選。
結果……
エリックがウインナーの抽選を勝ち取る。
奥田氏はハズレの食パン。しかしまだマトモに食えそうだ。
アワタ氏の鮭投入。
良い出汁が取れるといいね……
「生臭い……」
無味無臭の水なのだから、当然である。
(曰く「海釣り公園の風の香りがする」とのこと)
「噛めばかろうじて、うまみが出てくる」
「だんだんうまくなってきた、真ん中の方に味がついてる。タンパク質の味がする」
奥田「どう? おいしい?」
アワタ「普通にうまい。鮭がうまくないわけがない」
奥田「言い聞かせてる(笑)」
またしても現実を受け止めきれていない模様。
アワタ「鮭、できればそっちのちゃんこ鍋に入れてあげたかった」
奥田「いつでも待ってるよ」
アワタ「あぁ!?」
旨いと口では言っておきながら、相当苛立っているようである。
一方、見事当たりを引いたエリック氏。やったね。
続々と投下されるウインナー。
充実の牛乳鍋になってきたエリック。
ハズレを引いた奥田氏。
果たしてちゃんこ鍋に食パンは合うのか……??
「あつっ!」
「うんうん、うまいうまい。意外といける・・・!」
食パンは普通においしい模様。
4巡目:勝利の道とは何だったのか
気を取り直してドラフト再開
奥田:つみれ
アワタ:つみれ
エリック:しめじ
奥田氏とアワタ氏の「つみれ」が重複。
奥田「邪魔すんなよ!」
アワタ「何がやねん! 俺の勝利の道を築いてるだけや!」
奥田「豚肉いけよ!」
アワタ「ツミレの方が味がしっかりしてるから出汁が取れるんや!」
傍から聞いていると実に低次元な会話である。
片や着実に理想的な鍋を実現しつつある奥田氏。
片や苦しい正当化で辛うじて自我を保っているアワタ氏。
注目の再抽選は……
当たり:奥田氏(つみれ)
ハズレ:アワタ氏(きのこの山)
アワタ「OH! きのこマウンテンっ!!!!」
彼の言う「勝利の道」とは、一体何だったのか。
「よっしゃ!嬉しいなぁ!」感極まる奥田氏。
その横で恨めしそうにつみれを見つめるアワタ氏。
おいしそうなつみれ。
これこそ「勝利の道」ではなかろうか。
一方アワタ氏のきのこの山……
(ごめん……すごくまずそう)
全部入れる。
奥田「以外にビスケット部分がいけるんとちゃうか」
無論、心にも思っていない。勝者の余裕。
そして食べる。
「これは・・・きのこの味がする」
もはや意味不明。
曰く、「チョコの味しかない。ビスケットの部分はただのふやけたビスケット。チョコフォンデュみたいに濃厚なチョコならいいけど、水っぽいチョコ味でおいしくない」
とのこと。
エリック「おいしそう」(他人事)
あわ「うどんと、きのこを一緒に食べれば、いける。こういうスイーツと思って食べたら、白玉的な……」
いいえ、そんなはずはありません。
さらに血迷ったか、後のために残しておいたであろう鮭までも投入。
エリック「オーノー・・・」
奥田「でも、ただの水から、味付の鍋になったやん」
……もういい、休め。
一方、こちらは本物のきのこ。
「牛乳はパスタソースみたいでおいしい」
しめじは牛乳鍋に合うようだ。
5巡目:敗戦処理
各者、残りの手札は「豚肉」「ねぎ」「豆腐」「ごはん」となった。
アワタ「残りの手札……これに合うのは……」
奥田:豚肉
アワタ:豆腐
エリック:豚肉
アワタ氏は既に十分に傷を負っているため、これ以上傷が深まらないよう、敢えてあっさりした豆腐に走った模様。
アワタ「俺はもう、スイーツ鍋にする!」
(鍋じゃない)
一方奥田氏とエリック氏は豚肉が被る。
いざ、ドラフト抽選へ。結果は……
当たり:エリック(豚肉)
牛乳→白菜→ウィンナー→しめじ→豚肉 と、順調に牛乳鍋を楽しむエリック氏。
「豚肉うまい」
「でも、普通の鍋の方がおいしい」
いや、それは言っちゃダメだろ……
ハズレ:奥田(ポテトチップス)
アワタ「ハズレの威力がよわい。ポテチ普通にうまそうやん」
エリック「ポテチおいしそう」
鍋にポテチ。
半信半疑の表情の奥田氏……
意外とイケる!
「めっちゃうまい!ジャガイモ切らずにこれ入れとけばいける」
「新しい発見!カレー鍋に入れたらうまそう」
ここまでハズレを2度引きながらも、それなりにおいしい鍋を食す奥田氏であった。
やはり会社のトップたる者、持っているものが違うということか。
一方別次元から戻ってこない、アワタ氏。
「多分、チョコと豆腐は合うと思う。チョコ味の豆腐とかアリやな……」
いや、無しやな。
「チョコの甘さがすべての食材の繊細な味をぶち壊している」
「生臭さと甘さが混じっている……」
「たまに『きのこの山』のビスケットが現れて少し塩味がするが、基本味が薄い」
「鮭うまい。中のほうが味が染みてなくてうまい」
「でも、食べ物を粗末にしたらアカンからな……」
要約すると「まずい」ようだ。
ラスト:そして終局へ……
残る食材は、「ごはん」と「ねぎ」。
もはや誰かと被ることは避けられない。
奥田:ご飯
アワタ:ねぎ
エリック:ご飯
アワタ氏は「チョコご飯」を避けるためにネギを選んだようであるが、
正直どっちもどっちだ。
さて、ご飯をかけた最後の抽選の結果は……
当たり:奥田(ご飯)
普通に美味そう。
残しておいたつみれも加え、完成。
彩りは悪いが味は紛れもなく雑炊である。
奥田「んーーーーーーーーっ!!! うまい!!!」
ハズレ:エリック(たけのこの里)
残念そうなエリック氏。
これは「きのこの悲劇」の再来なのか??
牛乳鍋(牛乳が煮詰まってしまい水を追加したのでほぼお湯)の中にたけのこ投入。
エリック「牛乳が残ってたらよかったのになあ」
そういう問題なのだろうか?
意外といける模様。箸が進むエリック氏。
エリック「うまい!」
奥田「エリックほんまか?泣いてない?」
エリック「チュロスみたい」
奥田「え!?チュロス?」
エリック「溶けすぎたら微妙やけど、おいしい」
奥田「エリックばくばく食うてるやん」
エリックはスイーツでうまく鍋をシメた模様。
一方、鍋に入れる前に生のねぎを食すアワタ氏。
「むしろこのままの方がイケる」
しぶしぶネギを鍋に投入するが、もう目も当てられない惨状。
おいしい雑炊を食べる奥田氏、混沌と戦うアワタ氏。
約2時間後・・・なんとか(鍋に入れたものは)完食!
戦いはここに終了した――
勝者はもちろん奥田。
圧倒的敗者は……もはや言うまでもない。
天誅は下ったのだ。鍋の神様に謝れ。
戦いを終えて……
アワタ「チョコレートさえなかったら、普通に食えたと思う。味ないけど」
エリック「奥田さんは普通の鍋」
奥田「おいしくいただいてます。」
アワタ「今思えば、うどんが一番おいしかった」
ごちそうさまでした!
余った具材は、おいしくいただきました。
今回のコンセプトは「鍋に意外と合う具材を探す」でしたが、
どうやら「ポテトチップス」はアリなようです。
寒い季節にみんなで楽しめる鍋ドラフト。ぜひお友達と試してみてください!
(※チョコレートは断じてオススメ致しません)
結果
奥田 | アワタ | エリック | |
---|---|---|---|
1順目 | ちゃんこ鍋の素 | 水道水 | 牛乳 |
2順目 | 牛乳 | うどん | 白菜 |
3順目 | 食パン | 鮭 | ウインナー |
4順目 | つみれ | きのこの山 | しめじ |
5順目 | ポテトチップス | 豆腐 | 豚肉 |
6順目 | ご飯 | ねぎ | たけのこの里 |
ハズレ回数が1回しかなかった粟田氏がいちばん混沌と戦った結果となった。