【南森町奇譚】ピザ・マルゲリータ
それはまだ冬の寒さが残る3月のことだった。
仕事のミスを社長に叱られて、ぐったりうなだれながらヨシダは帰途についた。
「それにしても社長ってば、あんな言い方しなくてもいいのにさ!」
ヨシダは打たれ弱い。家に着くまでしつこくぶつくさ言い続け、やや乱暴にコートをベッドに放り投げた。
「晩御飯作る気もしないっつーの」
ふてくされたヨシダの視界の端に、数日前ポストに入っていたピザのチラシが映った。
「そうだ、出前取ろう」
おもむろにノートパソコンを開き、ブラウザを立ち上げる。
お気に入りから、ピザ屋のサイトを開いた。慣れたものである。
「ど・れ・に・し・よ・う・か・なー?」
ファッキン社長と仕事のことは忘れて、待ち時間30分の表示ににやけながら注文を確定した。
「………遅い」
注文から45分が経過している。
(店舗に電話してみようかな。でもなあ…。)
そう思った矢先、玄関のチャイムが鳴った。
「ピザ・バケモーノで〜す。ご注文のお届けに参りました〜」
間延びした声に少し苛立つ。これはひとこと言ってやらねばと決意し、ヨシダは勢いよく玄関の扉を開けた。
ゴン!
「あいたっ!!」
ドアの向こうにしりもちをついた人と散乱したピザの箱が見える。
(ああ、私のピザが!)
いや、ここは相手の心配をしなければ。
「す、すみません。大丈夫ですか?」
「は、はい…。なんとか…。って、あれ?」
こうしてヨシダは5年ぶりに、あの人物と再会したのであった。
つづく
ピザ・マルゲリータの材料
A ピザ生地の元たね
強力粉 50g
ドライイースト 2g
砂糖 2g
水 65ml
B ピザ生地
強力粉 20g
薄力粉 30g
塩 2g
オリーブ油 3g
Cトマトソ-ス
玉ねぎ 1/2個
ホールトマト缶詰 1缶
ローリエ 1枚
塩・こしょう 適量
オリーブ油 適量
Dトッピング
トマト 1/2個
モッツァレラチーズ 1個
ベーコン 好きなだけ
バジルの葉 5枚
ピザ・マルゲリータの作り方
① Aをボウルに入れてゴムベラでしっかり混ぜる。砂糖とドライイーストを近くに置くとイースト菌が目覚めやすい。
② 別のボウルにB強力粉・薄力粉・塩を入れ、①を加え、全体がひとまとまりになるまで混ぜる。
③ 生地をこね台に移し、こねる。生地に弾力が出てきたら、オリーブ油3gを加える。
④ 生地を100回くらい叩き付けながらこねる。
⑤ 生地がなめらかになるように丸くまとめ、ボウルに入れてラップをかける。
⑥ 28〜30℃に保ち、生地を発酵させる。40分ほど発酵させると2倍くらいの大きさになる。
※発酵を待つ間に、トマトソースを作っておく。作り方はこの記事の最後の方に書いてあります。
⑦ 人差し指に強力粉をつけて、生地に第二関節くらいまで差し込む。静かに指を抜き、穴がそのままなら発酵完了。
穴が元に戻る場合は、もう少し発酵させる。
生地がしぼむ場合は、発酵し過ぎなので少しアルコール臭い生地になりますが、まあ気にせず進みましょう。
⑧ 2分割して丸め、ぬれ布巾をかけて10分ほど休ませる。
⑨ 麺棒で直径18㎝の円形に伸ばす。
⑩ オーブンシートをひいた天板に載せて、35〜38℃に保ち30分ほど発酵させる。生地が1.5〜2倍の大きさになる。
⑪ 生地の具をのせる部分を押してしぼませる。
⑫ トマトソース、薄切りトマト、モッツァレラチーズ、ベーコンをのせる。
⑬ 200℃に予熱したオーブンで13分焼き、焼きあがったらバジルの葉をのせる。
⑭ 出来上がり。
トマトソースの作り方
① フライパンでオリーブ油をあたためる。あれば刻んだニンニクを入れる。なければ無いでOK。
② みじん切りにした玉ねぎを炒める。
③ 玉ねぎがいい感じになったら、ホールトマトを入れ、トマトを潰しながら煮る。ローリエを入れて香りをつける。
④ 塩・こしょうで味を整える。
ワンポイント
ピザ2枚のうち、1枚はジャガイモとサラミをのせました。
マルゲリータの余った具を使ってカプレーゼとパスタを作りました。
ピザは生地から作るとあほみたいに時間がかかります。出前を取るか、イタリアに行った方が早いかもしれません。
たまたまちょっと高級そうなベーコンやサラミをいただいたので、それをたっぷり使ったせいか味はめちゃくちゃおいしかったです。
ちなみに冒頭の小話は全編フィクションですが、作り方は本当です!